著者:永井康徳
2026年診療報酬改定インパクトランキング、第5位を発表いたします。
ポリファーマシーや残薬問題に悩む先生方にとって、現場を本気で変える改定です。
1. 何が新設されたのか
新設されたのは、訪問診療の医師と、訪問薬剤管理指導の薬剤師が、『同じ日・同じ時間に患者宅を訪問する「同時訪問」』を評価する仕組みです。
点数は以下のとおりです。
• 医科側:「訪問診療薬剤師同時指導料」300点
• 調剤側:「訪問薬剤管理医師同時指導料」150点
• いずれも6か月に1回算定可能
ポイントは、調剤側にも点数がついたこと。これまで薬局は持ち出し感がありましたが、150点の評価で薬局からも連携提案が出やすくなります。医師と薬剤師の協働を制度として後押しする、初の本格的な仕組みです。
2. なぜ今、同時訪問なのか
背景にあるのは、ポリファーマシーと残薬問題です。
5剤、10剤を服用する在宅患者さん、珍しくないですよね。お薬カレンダーが整理しきれず、飲み忘れ、残薬の山。
これまでは、医師は診察、薬剤師は別日に服薬指導。情報は紙やFAXで非同期。これでは処方の最適化に時間がかかりすぎるのです。
同時訪問なら、医師がベッドサイドで診察しながら、薬剤師がその場で残薬と副作用を共有。「この薬、もう要らないかも」「では今日この場で減薬しましょう」――リアルタイムで処方調整ができるわけです。在宅医療の質を一段押し上げる変化だと思います。
3. 増収インパクト
経営インパクトも見ておきましょう。
仮に対象患者さんが30人いたとします。 医科300点 × 30人 × 年2回 = 18,000点、年間18万円の増収。 連携薬局側でも、150点 × 30人 × 2回で9万円が上がります。
額そのものより、ポリファーマシー対策にしっかり時間をかけた行為が評価される。現場のモチベーション維持という意味でも、意義は大きいと感じます。
4. 算定上の注意点 3つ
実務で押さえるべき3つのポイントをご紹介します。
①6か月に1回の頻度制限
毎月は算定できません。だからこそ、「誰に同時訪問を組むか」の選定が重要です。優先すべきは、
• 服用薬剤数が多い方(目安6剤以上)
• 認知機能低下があり服薬管理に不安のある方
• 転倒・ふらつき・せん妄など、薬剤起因が疑われるエピソードがあった方
• 多科受診で処方重複の可能性がある方
院内でリスト化しておくとスムーズです。
②施設総管の患者は対象外
見落としやすいので要注意。施設入居時等医学総合管理料を算定している患者さんは除外です。対象は原則、居宅で在宅時医学総合管理料を算定している患者さん。算定前にカルテで一度確認をしましょう。
③連携薬局とのスケジュール調整
同時訪問は、医師と薬剤師の予定が合わないと成立しません。
• 月初に「今月の同時訪問候補リスト」を薬局と共有
• 訪問ルートを薬局と擦り合わせ
• MCSなどICTツールで日程調整を簡略化
5. 活かし方のコツ
現場で同時訪問を最大限活かすコツを3つ、ご紹介しましょう。
1. 事前に処方・検査値・症状を薬剤師に共有しておくと、当日の議論が深まる。
2.「減薬」をゴールにしない。剤数ではなく、患者さんのQOLとアウトカムを軸に。
3. ご家族への教育機会として活用。薬剤師から直接説明することで、服薬アドヒアランスが上がります。
6.終わりに
第5位は「医師・薬剤師同時訪問の新設」。 医科300点・調剤150点、6か月に1回。多職種連携を一段引き上げる改定だと思います。